親方の独り言

 「ついの住みかに眺める山と暮らす家」の棟上げを数日後に向かえる

 やるべき事は 全て行った
 準備万端
 どっからでも かかって来なさい

 不安は若干あるが 戦闘モードに入るので
 心配は微塵もない
 来る物は来てしまうので やり遂げるだけである

 これから暫くは タップの練習にも行けなくなる
 甦町屋の練習も二の次ぎになってしまう
 それでも 一番好きな事を ガシガシやって行けるので
 嬉しくて仕方なくなっている

 棟上げの後は 又 「娘を嫁がせた父親」状態の侘びしさが数日襲ってくるのも分かっている
 寝ても覚めても「段取り」の事ばかり考えるようになるのも分かっている
 現場掃除しながら「なんでわしがこねえな事を せにゃならんのか」ぶつくさ言うのも分かっている
 材料運搬しながら ボードを荷揚げしながら「わしゃ現場作業員か」つぶやくのも分かっている
 汗をかき あちこちに あざを作り
 それが自分の一番好きな自分の姿であると 自分自身が知っている

 わしらあは 物造りが好きでたまらん人間で
 エコじゃあ 地球環境に優しい家作りじゃあ 人に優しい家造りじゃあ と
 もっともらしく言って見たところで
 形を造っていくのが ただただ好きな人間であるだけで
 ただただ それだけの せせこましい了見の集団なのだ
 好きだから やりよる 苦にならん 楽しい わくわくする
 プラモデルが好きな子供と いっちょ変わらん

 いつのも仲間が この現場に 又 集い
 いつもの仲間が この現場に 自分自分の「思い」を落としていく
 「この家は お父さんが手がけたんだよ」と 一人一人が誇れる家を造っていく
 ずっと ずっと 同じ事を繰り返す
 毎回 毎回 新鮮で
 毎回 毎回 良くなれ 良くなれ もっと 良くなれ と 一人一人が積み上げて行く

 わしゃ この仕事が好きでたまらんのだよ

 巡り合う 施主さん 職人衆 みんなみんな 好きでたまらんのだよ
 そん中で 動く自分が 好きなのだよ

 やっちゃるけえ ええ事にしか ならんけえ

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